<パンフレットより抜粋>
モルドヴァのウジャーヌ・イヨネスコ劇場にとって日本の観客の皆さんの前で演技ができることは、きわめて重要な出来事といえます。
日本の文化の中には世界でもユニークな演劇財産があります。日本国民は、何百年にも渡り、その姿を変えることなく演劇的伝統を維持し、今日までこれを伝え続けることに成功した国民と言えるでしょう。それと同時に、すばらしい現代劇もお持ちです。これらすべてのことは、皆さん方が演劇を愛し、その価値を認め、それを高く評価する国民であることを示しています。
こうした理由から、私共が世界二十カ国以上で公演を行い、日本公演も今回で二度目であるにもかかわらず、私たちにとってみなさん方は「最も重要な審査員」と言えるのです。
私たちはその意味で、名誉を感じるとともに、緊張もしております。
私たちは、国際語である演劇言語を媒介としてみなさん方との間に、まず何よりも、人間的コミュニケーションを確立したいと考えております。私たち誰にとってもきわめて大切なことは、文化を通じたコミュニケーション芸術を有することではないでしょうか。
こうして私たちは、お互いによりよく理解し、より精神的に接近し、相互に学びあうことでより豊かになり、より多くのすばらしいことを実現することができるのではないでしょうか。
この意味で、日本とモルドヴァ共和国との文化関係のより豊かな発展のためにご尽力なされている著名な演劇評論家・七字英輔氏に対し、改めて私たちの心からの感謝と評価の念を表明したいと思います。
同氏が、初めて、日本演劇をモルドヴァにもたらし、モルドヴァのルーマニア演劇を日本にもたらした最初の人だからです。
同時に、日本の国際交流基金に対し、こうした文化関係の発展に大きな感心を払い、私たちの間に協力と経験交流のプロジェクトの重要性を認識し、その実現のために貴重な援助を提供してくださっていることに、感謝を表明したいと思います。
私たちと楽しい時を過ごしていただければと心より願っております。
心からの敬意の念を持って。
ペトル・ブトカレウ
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