●踊り・・・・長嶺ヤス子
Jacob Guerrero
●三味線・・・今藤政太郎 社中
●歌・・・・・今藤尚之/今藤美知/他
●鳴物・・・・藤舎呂船 社中
●スタッフ
演出・振付・池田瑞臣
構成・・・・瀧澤いっせい
衣装・・・・松竹衣装
照明・・・・坂本義美
音響・・・・田島企画
作・編曲・・今藤政太郎
作詞・・・・金子 泰
舞台監督・・小林正昭
結髪・・・・奥山光映
題字・・・・柏木白光
写真・・・・今井一詞
主催:長嶺ヤス子ダンスカンパニー
宣伝広報:菊地 廣 |
『葛の葉』梗概
「葛の葉物語」は、「信太妻」ともよばれ、文学・歌舞伎・浄瑠璃・文楽・説教節・瞽女唄(ごぜうた)など、あらゆる文学・芸能ジャンルでとりあげられてきました。江戸時代、竹田出雲による「芦屋道満大内鑑」(あしやどうまんおおうちかがみ)は歌舞伎で大ヒットし、特に「葛の葉子別れの段」は有名で、今日まで多くの人々に愛好されてきました。物語は、平安時代の天文博士・安倍晴明の出生と活躍が描かれています。信太の森で生まれ、信太の森が育てた作品です。
昔、村上天皇(10世紀)の時、摂津の国に安倍保名(あべのやすな)という人が住んでいました。ある日、信太大明神に参詣し、みそぎをしようと池のほとりに立っていると、狩人に追われ傷ついた狐が逃げてきました。保名は、狐をかくまい逃がしてやりました。追ってきた狩人たちは、保名をさんざん責め、深い傷を負わせてしまいました。
傷で苦しんでいる保名のもとへ、若い女がたずねて来ました。女の名は、葛の葉といい、かいがいしく保名の傷の手当をしました。
やがて、保名の傷も治り、二人がともに暮らすうち、可愛い童子も誕生し、幸せな日々が過ぎていきました。
六年目のある秋の日、葛の葉は、庭に咲く美しい菊に心を奪われ、自分が狐であることをつい忘れ、うっかり正体のしっぽをだしていました。童子にその正体を見つけられた葛の葉は、ともに暮らすのもこれまでと、
恋しくばたずね来てみよ和泉なる
信太の森のうらみ葛の葉
の一首を残して信太の森へと去っていきました。
保名と童子は、母を求めて信太の森を探し歩きました。森の奥深くまできた時、保名がふと振り向くと、一匹の狐が涙を流してじっと二人を見つめていました。はっと気がついた保名は、「その姿では子どもが怖がる、もとの葛の葉になっておくれ。」保名の声に、狐は傍らの池に自分の姿を映したかと思うと、たちまち葛の葉の姿となりました。
「わたしは、この森に住む白狐です。危ない命を助けられたやさしさにひかれ、今まで、お仕えさせていただきました。ひとたび狐にもどった以上、もはや、人間の世界にはもどれません。」と、とりすがる童子を諭しながら、形見に白い玉と箱を与え、最後の別れをおしみつつ、ふたたび狐の姿となって森の奥へと消えていきました。
この童子こそ、やがて、成人し陰陽道の始祖・天文博士に任じられた安倍晴明(あべのせいめい)だと語られています。
|