<白虎隊あらすじ>
秘め続けた故郷会津への想いを初めて昇華させた長嶺ヤス子裂帛(れっぱく)の舞い
戊辰(ぼしん)戦争。会津若松攻めの劫火(ごうか)の中、白虎隊は駆け抜け死んでいった。
その華やかな死の裏舞台に、いくつもの人知れぬ死と生の物語があった・・・
維新動乱期の会津城下。
夫と妻と息子と。そこには幸せな営みが確かにあった。
が、平和に暮らすことを時代はもはや許さず、息子は白虎隊隊士となり、母と別れて死地に普く。夫もまた戦さへと向かう。
ほどなく息子は戦いに敗れ自死、亡霊となって母を訪ない、束の間の邂逅(かいこう)ののち、想いだけを残して霧散する。
現(うつつ)と幻の二度の別れに母のこころは狂気の端境に振れる。
戦さに傷ついた夫が帰還し、刺し違えてともに死ぬことを決意する。
妻の刃は夫の胸を貫<。が、夫の刃は妻を傷つけなかった。
それは夫の意思。
「生きよ」
死屍累々の闇を越え、次の時代を孕めよと。
妻は(母は)(女は)、数多の死を背負い、ひとり生きていく決心をする。
「白虎隊」について
白虎隊(びゃっこたい)は、会津戦争に際して会津藩が組織した、16歳から17歳の武家の男子によって構成された部隊である。中には志願して生年月日を改め15歳で出陣した者もいたほか、幼少組として13歳の少年も加わっていた。
幕末の会津藩が組織した部隊には他に玄武隊、朱雀隊、青龍隊、幼少隊などがある。 |