踊り:長嶺ヤス子 
       アントニオ・デルガード 
       イサック・バルベロ
    ヴォーカル:チェリート 
          ミゲル・オルテガ
      ギター:パコ・クルサード 
          フォアキン・ブリト 
     ドラムス:アンヘル 
      ベース:ロドニー・ドラマー 
    キーボード:栗本 修 
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     ●あらすじ 
    亡夫の写真に、心で話しかける女。 
    喪われた愛の想い出に浸りながらの孤独な踊り。 
    静かにリズムを踏んで、次第に、烈しく。 
    そのいつともなく、夫の亡霊が。写真のうしろから。写真から抜け出したように。 
    女、驚愕し、自らの目を疑い、そして歓びが弾ける。「あなたなのね?・帰ってきてくれたのね。あなただって信じさせて・・・」 
    亡霊の踊り。生前の夫そのままの愛に満ちた、力強く、優しさ溢れるステップ。 
    次いで、二人の踊り。 
    ところが、抱き合おうとすると、見えない壁にはばまれ、あるいは、すれ違ってしまう。 
    女の心に苛立ちと悲しみが。その肉体には火をつけられたまま満たされぬ、重い痺きが。 
    夫の亡霊も侘しげに、写真のうしろへと消えてゆく。 
            * 
    若い男登場。エネルギシユで、力強い(荒々しくさえある)ステップ。 
    女が現われ、その横を大回りして通り過ぎる。その瞬間に、大気を切り砕くような雷鳴と、稲妻。二度・三度・・・。 
    反射的に女が男にしがみつく。すぐに身を放し、行きかけるが、続く雷鳴と稲妻で、再び男の胸の中に。 
    恐怖を仲立ちとしての狂おしい情欲が女を支配する。女はひたすら男の体を求め、男もまた、それに応える。新しい恋が生まれた。 
            * 
    だが、新しい恋が深まるにつれ、それを妨げようと、現われ、つきまとう夫の亡霊に女は悩まされるようになる。 
    そこで、女は霊を払う儀式=除霊の発儀を行なう。 
    亡き夫への後ろめたさ−罪悪感から自分の心を解放しようとして自由へのステップ。 
    結果は、逆に打ちひしがれて、悲しげに踊る夫の亡霊を見ることで、女はかえって自分の本心に気付くことになるのである。「私が本当に愛しているのは、この夫。私は、やはりこの夫についていく。」 
            * 
    自分から離れていった女の気持に、若い恋人は逆上。 
    嫉妬の矛先を、夫の写真に向けてナイフで切りかかる。写真と重なるように立つ夫の亡霊。 
    その夫をかばうように両腕を拡げ、恋人の前に立ちふさがる女。 
    思いがけなくも、自分が刺し殺してしまった女の体にすがって身悶える若い恋人。 
    やがて、頭を抱えてよろめき回る恋人をよそに、女の体から霊となった女が立ち上がり、夫と抱き合って天国への階段をのぽっていく。 
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