「遊・アンチピエス」企画Vol.2
ウ−ジェ−ヌ・イヨネスコ作

『授業』

2006年3月10日(金)〜12日(日)
シアターX

フランスの不条理劇、イヨネスコの『授業』に日本の伝統音楽『浄瑠璃』がからむ・・・
え! 面白そう! 観たいな!


 

出演者プロフィール

●丸山里奈
富田仲次郎との出会いから芝居を始め、その後、高林幸兵に師事。劇団「平成元年」(高林幸兵作・演出)「光源氏を待ちながら」「我輩も猫である」「OUTSIDERSー忠臣蔵2001」「TANIZAKI」など、シアターXでの公演に出演。雁坂彰の下で、高等学校演劇連盟の大会講師を担当し「教育にいかせる演劇」を追求。教育カウンセラーの顔も持ち、國分康孝・國分久子監修「教師のコミュニケーション事典」(図書文化)の分担執筆をする。
●山山竒ふら
「NHKプロモート、アクティングゼミナール」にて演劇を学ぶ。
その後、舞台・テレビ出演などの経験を積みフリーに。平成13年、主宰として「演劇ユニットまるおはな」を旗揚げ。現在まで年2回のペースでオリジナル作品を発表、振付・出演も兼ねる。現代劇から時代物まで「日本人」というカテゴリーにこだわった数々の作品群は、生演奏・映像・ダンスを取り入れるなどの工夫を凝らした表現で、幅広い年齢層の観客を獲得。(代表作「ラララ文化ハウス」「花衣ふわり、お妾横町の夏」など)振付の仕事としては、自身のユニット以外に、ミュージカル・ビデオシネマ・テレビドラマ等多数。
●佐藤道代
イサドラ・ダンカン国際学校日本大使。振付師として様々な文化の神話から独自の物語を紡ぎだす作風を持ち、音楽・物語・舞踊が一体の日本の芸能や、古代ギリシャの舞台芸術に興味を持つ。NYタイムズ紙に「スタイル・内容共に洗練された手法」と評される。イデオキネシオロジー指導者として、解剖学とイメージで身体を内観し味わう身体調整法を研究し、NY大学・津田塾大学でも指導を行う。ペンシルバニア・ロックウェル・プロダクションのミュージカル「王様と私」にエンジェル役で出演/英国大英博物館、サンフランシスコ、トロントにて「東西からのイサドラ・ダンカンへのオマージュ」/NYジョイス・ソーホー劇場にて「Silk & Ume blossoming : To Women of Japan」ほか海外公演多数。
●渡辺直子
劇団NLTに所属。「さあ、どうする!?」グレッグ・デール演出(俳優座劇場)、「おかしな二人 女性版」北澤秀人演出(銀座みゆき館劇場)、「喜劇 桜の園 〜狸は嫁か姑か〜」池田政之作・演出(三越劇場)、「犯人は私だ!」グレッグ・デール演出(博品館劇場)などの劇団NLT公演だけでなく、「細雪」水谷幹夫演出(帝国劇場)、「東京駅」西川信廣演出(芸術座)、「大川わたり」水谷龍二作・小林俊一演出(ル テアトル銀座)、「喜劇 大吉夢家族 恋はいつでもサンバのリズムで!」伏見悦男演出(帝国劇場)などの外部公演や、その他テレビ・アテレコと幅広く活動する。
●常磐津紘寿郎
昭和56年、父・常磐津菊寿郎師に入門。同年6月、大阪中座歌舞伎公演の「奴道成寺」にて初舞台。9月、常磐津紘寿郎の名を許される。昭和58年、国立劇場歌舞伎公演の「身替座禅」の演奏に対して特別賞(団体)を受賞。平成元年、パリ・ルクセンブルグ・ローマにて常磐津節初の演奏会に参加する。平成9年より同人にて「常磐津研修会」を発足し定期演奏会を催す。平成15年1月、新春浅草歌舞伎公演の「男女道成寺」にて、芝居の立三味線を勤める。平成17年4月、国立劇場清栄会奨励賞を受賞。
この他に、昭和63年に人間国宝11世都一中師に師事。同年9月、都良中の名を許され、定期演奏会「一中節研究会」を行う。また、富本節の4世富本豊柳、東明流の2世東明吟新を名乗る。
●常磐津和英太夫
幼少より五代目常磐津和佐太夫に師事、1987年常磐津和英太夫の名を許される。同年九月常磐津協会定期演奏会「お夏狂乱」で初舞台。
1990年国立劇場「紅葉狩」より、歌舞伎公演の演奏にも携わる。国内での演奏活動の他、スイス、オランダ、アメリカ、中国などで海外公演。
1998〜1999年には、メキシコ大学院大学客員教授として、メキシコ各地でレクチャーデモンストレーションを行った。
2004年10月にはプラハ(チェコ共和国)に於いてワークショップを開催した。
演奏業の傍ら、古典芸能研究に従事し、現在、早稲田大学演劇研究センター講師。その他、跡見短大・聖学院大学・読売文化センター講師。
著書に『歌舞伎の空間(舞踊の空間)』・『世襲について』など。
創作作品に「仇花火」「魑魅魍魎的」(市川染五郎主演)などがある。

はじめに

 戦後半世紀以上経った今でも、まだ、当たり前のように社会問題はあふれ、生命は常に危機にさらされています。物質的に恵まれ、社会的地位も安定し、一見、何も困っていないような人々が、実は、とんでもない社会の渦に巻き込まれ、病んでいるのではないかと考えさせるのがこの作品です。
 日本ではかつて、渋谷のジァン・ジァンで(現在はないが)15年ものロングランとなり、話題を呼んだこの作品は、いまだにフランスで連日上演され続けています。書かれてから半世紀以上も経った今でも、時代遅れになるどころか、現代の人間像にピッタリに思えてならないのは私だけでしょうか。
 この作品を、女性だけのカンパニーで行い、“テーマが男女間の性である”という、よくありがちな解釈に制限されず、広がりをもたせた現代的解釈として公演してみたい!ノノ言葉の解体と称されたイヨネスコの作品だけに、「言葉」と「身体」と「感情」を分解するという冒険に適している!ノノと私は思いました。
 今回の公演では、役者とダンサーと浄瑠璃の三位で、この実験を試みてみました。また、モダンダンスの母と言われるイサドラ・ダンカンの踊りの要素を取り入れ、演劇のルーツにも関係するギリシャのコロスの存在を意識して、登場人物の女中を演出したのも原作にはない点です。さらに、日本の伝統芸能である浄瑠璃を取り入れることにより、言葉と身体の切り離しだけでなく、翻訳劇に日本の文化をドッキングする新しい試みも行ってみました。
 しかしながら、4ヶ月前、登場人物の教授が、作品中で『人は何事にも備えていなくてはなりません』と語っているにもかかわらず、実際、教授役の私が何事にも備えられず、倒れ、いきなりVol.1公演が幻と化してしまい、多くの方々にご迷惑をかけてしまいました。
 将に、作品が言わんとしている事件のひとつが、私の身の上に起こってしまいました。お陰さまで、この教訓をバネにし、今回はキャストも増え、備えを万全にし、新たなVol.2公演が誕生できるものと確信しております。
 どうぞ、安全な客席?で、幻のVol.1公演から進化した舞台を、ごゆっくりお楽しみ下さい。

梗概

老教授の書斎にその日40人目の生徒がやって来て、奇妙な個人授業が始まる。最初は熱心だった生徒も、算術、言語学と進むうち、次第にその気力を失っていく。逆に老教授は、自らがつむぎだす言葉に世界にからめ取られ、狂喜の瞬間を迎えた時、無意識にその生徒を・・・・。
やがてまた41人目の生徒が老教授の元を訪れて・・・・。
円環構造が孕む、果てのない不気味さと矛盾が引き起こす、狂喜に満ちた不条理劇の傑作に、浄瑠璃と三味線、ダンサー、俳優たちが、各々の分野の力を駆使して挑む、不条理劇の新世界(解体と構築)・・・・・!

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