●こちらは「文芸漫談」の過去の公演リストです
Vol.23●2012年9月28日(金)二葉亭四迷『浮雲』
料 金■2,500円(全席自由)
会 場■北沢タウンホール(TEL.03-5478-8006)
世田谷区北沢2-8-18
作品詳細
『浮雲』 梗概
『浮雲』(うきぐも)は、主人公の文三とその従姉妹のお勢、友人の本田の3人の姿を中心に描かれている。
言文一致の文体(ダ体)で書かれた日本の近代小説の始まりを告げた作品で、四迷の代表作。 坪内逍遥の『小説神髄』を読んで満足しなかった四迷が『当世書生気質』に対抗して書いた。
当初は坪内逍遥の本名「坪内雄蔵」の著者名で発表され、逍遥は報酬として印税の半分を受け取っていた。
しかし四迷は出来に満足せず、この後約20年間ほど小説の執筆から離れてしまった。
『浮雲』あらすじ
内海文三は融通の利かない男である。とくに何かをしくじったわけでもないが役所を免職になってしまい、プライドの高さゆえに上司に頼み込んで復職願いを出すことができずに苦悶する。
だが一方で要領のいい本田昇は出世し、一時は文三に気があった従妹のお勢の心は本田の方を向いていくようである。
お勢の母親のお政からも愛想を尽かされる中、お勢の心変わりが信じられない文三は、本田やお勢について自分勝手に様々な思いを巡らしながらも、結局何もできないままである・・・・・。
二葉亭四迷 <1864年〜1909年> 小説家、翻訳家
本名、長谷川 辰之助(はせがわ たつのすけ)。
筆名の由来は、文学に理解のなかった父に、「くたばってしめ(ま)え」といわれたことから(ただし俗説であるとの見方も強く、確証はない。一説には自嘲ともいわれる)。
長谷川 二葉亭(はせがわ ふたばてい)とも呼ばれる。江戸市ヶ谷生れ。
彼の自筆履歴書によると、1883年2月1日から1885年12月25日まで、当時の専修学校(現在の専修大学)で学び、卒業した。
また、東京外国語学校(現東京外国語大学)露語科入学後、同科が改組されてできた東京商業学校(現一橋大学)第三部露語科を1886年1月に中退。
坪内逍遥と交流を結び、その勧めで評論『小説総論』を発表。
1887年〜1891年の間に出された写実主義小説『浮雲』は言文一致体で書かれ、日本の近代小説の鼻祖となった。
また、ロシア文学の翻訳も多くてがけ、ツルゲーネフの「あひゞき」「めぐりあひ」は特に有名。自然主義作家へ大きな影響を与えた。
後に『其面影』『平凡』を書いたが、1909年、ロシア赴任からの帰国途中、ベンガル湾上で客死した。
出演者プロフィール
いとうせいこう
1961年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒業。 作家・クリエーター。
『ノーライフキング』で小説家としてデビュー。
その後『ワールズ・エンド・ガーデン』『解体屋外伝』『豊かに実る灰』『波の上の甲虫』などを執筆。
2013年『想像ラジオ』で第35回野間文芸新人賞受賞。
最新作『鼻に挟み撃ち』(2013年すばる12月号)で2度目の芥川賞候補にノミネート。
主なエッセイ集として『見仏記』(共作/みうらじゅん)『ボタニカル・ライフ』などの他、舞台・音楽・テレビなどで活躍。
公式HP=http://www.froggy.co.jp/seiko/
奥泉 光
1956年、山形生まれ。
国際基督教大学大学院修了。小説家・近畿大学教授。
主な小説に『ノヴァーリスの引用』『バナールな現象』『「吾輩は猫である」殺人事件』『プラトン学園』『グランド・ミステリー』『鳥類学者のファンタジア』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『神器—軍艦「橿原」殺人事件』などがある。 1993年『石の来歴』で第110回芥川賞受賞。
2009年『神器—軍艦「橿原」殺人事件』で第62回野間文芸賞を授賞。
2014年『東京自叙伝』で谷崎潤一郎賞を授賞。
公式HP=http://www.okuizumi.com/