●こちらは「文芸漫談」の過去の公演リストです
Vol.20●2011年10月29日(土)深沢七郎『楢山節考』
料 金■2,500円(全席自由)
会 場■北沢タウンホール(TEL.03-5478-8006)
世田谷区北沢2-8-18
作品詳細
『楢山節考』 梗概
山に囲まれた信州のある村。今年も楢山の歌が歌いだされる季節になった。村の年寄りは七十になると楢山まいりに行くのが習わしで、六十九のおりんは それを待っていた。
息子の後妻も無事見つかって安心したし、山へ行く時の支度はととのえてある。
済ませることはあともう一つ・・・・・。
−塩屋のおとりさん運がよい 山へ行く日にゃ雪が降る−
自分が行く時もきっと雪が降る…おりんはその日を待ち望む。
孝行息子の辰平は、お供で一緒に行くのだが、気が進まず元気がない。
しかし家計を考えて年明けも近い冬の夜、誰にも見られてはいけないという決まりのもと背中に母を背負って楢山まいりへと出かけていく。
辛くてもそれが貧しい村の掟なのであった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
深沢七郎 <1914年〜 1987年> 小説家、ギタリスト
山梨県東八代郡石和町(現笛吹市)に生まれる。旧制日川中学校(現山梨県立日川高等学校)卒業。中学の頃からギターに熱中し、ギタリストとなる。
1923年(大正12年)には京浜地方を中心に発生した関東大震災を生家で体験し、後に『庶民列伝』において回想を記している。
1954年、「桃原青二」の芸名で日劇ミュージックホールに出演した。
1956年に姥捨山をテーマにした『楢山節考』を中央公論新人賞に応募、第1回受賞作となった。三島由紀夫らが激賞して、ベストセラーになった。
また、戦国時代の甲州の農民を描いた『笛吹川』も評判になった。しかし一度も芥川賞候補になっていない。
1960年に『中央公論』に発表した『風流夢譚』では、天皇・皇族が殺害されるシーンを描いたため、翌年中央公論社長宅が右翼に襲撃される嶋中事件が起こった(風流夢譚事件)。
そのため筆を折って各地を放浪した。放浪中も『放浪の手記』などを執筆。
1965年、埼玉県南埼玉郡菖蒲町に落ち着き、上大崎の見沼代用水近くに二人の若者を連れて「ラブミー農場」を開き、以後そこに住んだ。
1968年10月31日、心筋症による重度の心臓発作に見舞われ、生死の境をさまよった。以後、亡くなるまでの19年間、闘病生活を送ることとなる。
1971年、東京都墨田区東向島の東武曳舟駅の近くで今川焼屋「夢屋」を開く。包装紙は横尾忠則のデザインによる。
このころ「夢屋」の入っている建物の3階に住む女性が窓から水を捨てたところ、それが誤って「夢屋」の客にかかってしまったことがある。激怒した深沢は女性に謝罪を要求したが拒まれたため彼女を殴り、傷害罪の容疑で逮捕・書類送検された(嵐山光三郎『桃仙人』p.79)。
1981年に『みちのくの人形たち』で谷崎潤一郎賞を受賞。
1987年8月18日、心不全のため73歳で死去した。告別式では、遺言に従ってフランツ・リストの『ハンガリー狂詩曲』やプレスリー、ローリングストーンズなどをBGMに自ら般若心経を読経したテープや、自ら作詞した『楢山節』の弾き語りのテープが流された。
実際、エルヴィス・プレスリーの大ファンで、「短編しか書けないのは、マンボやロカビリーやウエスタンのような小説が書きたかったから」と語っていた。「東京のプリンスたち」にはエルヴィスの曲名が次々に登場する。
また、ビートルズやジミ・ヘンドリックスも好んでいた。
晩年のラブミー農場には、嵐山光三郎や赤瀬川原平らが招かれていた。
嵐山は深沢を「師匠」と呼んでいる。
出演者プロフィール
いとうせいこう
1961年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒業。 作家・クリエーター。
『ノーライフキング』で小説家としてデビュー。
その後『ワールズ・エンド・ガーデン』『解体屋外伝』『豊かに実る灰』『波の上の甲虫』などを執筆。
2013年『想像ラジオ』で第35回野間文芸新人賞受賞。
最新作『鼻に挟み撃ち』(2013年すばる12月号)で2度目の芥川賞候補にノミネート。
主なエッセイ集として『見仏記』(共作/みうらじゅん)『ボタニカル・ライフ』などの他、舞台・音楽・テレビなどで活躍。
公式HP=http://www.froggy.co.jp/seiko/
奥泉 光
1956年、山形生まれ。
国際基督教大学大学院修了。小説家・近畿大学教授。
主な小説に『ノヴァーリスの引用』『バナールな現象』『「吾輩は猫である」殺人事件』『プラトン学園』『グランド・ミステリー』『鳥類学者のファンタジア』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『神器—軍艦「橿原」殺人事件』などがある。 1993年『石の来歴』で第110回芥川賞受賞。
2009年『神器—軍艦「橿原」殺人事件』で第62回野間文芸賞を授賞。
2014年『東京自叙伝』で谷崎潤一郎賞を授賞。
公式HP=http://www.okuizumi.com/