●こちらは「文芸漫談」の過去の公演リストです
Vol.03●2006年11月25日(土)エドガ−・アラン・ポ− 『モルグ街の殺人』
料 金■2,000円(全席自由)
会 場■北沢タウンホール(03-5478-8006)
世田谷区北沢2-8-18
作品詳細
『モルグ街の殺人』梗概
『モルグ街の殺人事件』は、シャーロック・ホームズなど、のちの名探偵のキャラクター造形に大きな影響を与えたオーギュスト・デュパンが初登場するエドガー・アラン・ポーの推理(怪奇)小説です。
朝の3時頃、モルグ街にある家屋の4階から一連の怖ろしい悲鳴が聞こえた。近所の人々が駆けつけ、戸を壊して中に入ると室内は散々に荒らされ、暖炉の煙突にはこの家のレスパーネ嬢が無惨な死体となって突っ込まれていた。母親のレスパーネ夫人は中庭で、喉をすっかり掻ききられて死んでいた。
証言によれば、近所の人は階段を登る途中「糞っ!」とか「やい!」とか何語とも分からぬ異様な声が聞こえたという。室に通じるドアはしまり、窓は内側から落とし釘が入っていた。
犯人はどこから入り、どこから出たのだろう。
パリ警察は理由もなくル・ボンなる男を逮捕したが白状しない。
デユポンと私は自分たちの手で解決してみようと考えた。
デユパンは死体がものすごく強い力で暖炉に押し込まれていたこと、あの叫び声はなにかなだめている声と考えられること、毛が抜かれていたが皮膚がついており、相当の力で頭からむしり取ったこと、一方の窓の落とし釘の頭が切れていたこと、夫人の方は窓から投げ落とされたと考えられること、窓を開けると外の避雷針との距離が2フィートくらいになること、残された指跡がオランウータンのそれに一致すること、等から結論を推定し、新聞広告を打った。
「ブーローニュの森でボルネオ産のオランウータンを捕獲した。返却したい。」
待ちかまえていると案の定、マルタ島出身の水夫が引き取りにあらわれた。
彼は問いつめられて「捕獲してきたオランウータンが逃げだし、あの部屋に逃げ込んだ。私は追いかけて行って避雷針に登ったが、老婆の悲鳴で興奮したオランウータンの所業を止めることができなかった。」・・・・・・・・・・?
エドガ−・アラン・ポ−<1809年〜1849年>
アメリカ合衆国の小説家、詩人、雑誌編集者。
マサチューセッツ州ボストンに生まれる。
生まれた直後に両親を失って商人アラン家に引き取られ、幼少期の一時期をロンドンで過ごした。
ヴァージニア大学に進むも放蕩から退学を余儀なくされ、その後陸軍入隊、士官学校を経て作家として活動を始める。
以後さまざまな雑誌で編集者として勤めながら、ゴシック風の恐怖小説「アッシャー家の崩壊」「黒猫」、初の推理小説と言われる「モルグ街の殺人」、暗号小説の草分け「黄金虫」など多数の短編作品を発表、また1845年の詩「大鴉」でも評判を取った。
1833年、当時まだ13歳だった従妹ヴァージニア・クレムと結婚するが、1847年に貧苦の中で結核によって彼女を失い、その2年後にポー自身も謎めいた死を遂げた。
ポーはアメリカにおいて文筆だけで身を立てようとした最初の著名な作家であったが、文名を得てからもその生活はほぼ常に貧窮の中にあった。
その作品は当初は本国よりもむしろヨーロッパで評価され、特にボードレールによるポーの翻訳はフランス象徴派の文学観形成に大きく寄与した。
またポーが「モルグ街の殺人」で作り出したC・オーギュスト・デュパンの人物像は以後の推理小説における探偵の原型となっており、そのほか科学的知見を取り入れた『アーサー・ゴードン・ピムの物語』などの冒険譚はジュール・ヴェルヌら後世のSF作家にも影響を与えている。
出演者プロフィール
いとうせいこう
1961年、東京生まれ。
早稲田大学法学部卒業。 作家・クリエーター。
『ノーライフキング』で小説家としてデビュー。
その後『ワールズ・エンド・ガーデン』『解体屋外伝』『豊かに実る灰』『波の上の甲虫』などを執筆。
2013年『想像ラジオ』で第35回野間文芸新人賞受賞。
最新作『鼻に挟み撃ち』(2013年すばる12月号)で2度目の芥川賞候補にノミネート。
主なエッセイ集として『見仏記』(共作/みうらじゅん)『ボタニカル・ライフ』などの他、舞台・音楽・テレビなどで活躍。
公式HP=http://www.froggy.co.jp/seiko/
奥泉 光
1956年、山形生まれ。
国際基督教大学大学院修了。小説家・近畿大学教授。
主な小説に『ノヴァーリスの引用』『バナールな現象』『「吾輩は猫である」殺人事件』『プラトン学園』『グランド・ミステリー』『鳥類学者のファンタジア』『浪漫的な行軍の記録』『新・地底旅行』『神器—軍艦「橿原」殺人事件』などがある。 1993年『石の来歴』で第110回芥川賞受賞。
2009年『神器—軍艦「橿原」殺人事件』で第62回野間文芸賞を授賞。
2014年『東京自叙伝』で谷崎潤一郎賞を授賞。
公式HP=http://www.okuizumi.com/