佐々木梅治・芝居一人語り
「父と暮せば」


NHK総合テレビで放送された韓国ドラマ『チャングムの誓い』で、ドックおじさんの声でお馴染みの佐々木梅治が、一人語りで挑む、感動の名作!!

広島の原爆投下から3年
生き残った後ろめたさから幸せになることを拒否し
苦悩の日々を送る主人公・美津江。
父・竹造に励まされ、悲しみを乗り越え未来に目を向けるまでの4日間の魂の再生の物語。

作●井上ひさし
出演●佐々木梅治
照明●佐瀬佳明

日 時■2019年10月25日(金)〜29日(火)

25日(金) 26日(土) 27日(日) 28日(月) 29日(火)
  15:00 15:00   15:00
19:00     19:00  


会 場■木馬亭 Tel&Fax 03-3844-6293 (東京都台東区浅草2-7-5)
料 金■自由席 一般:3,500円/学生:2,000円(前売・当日共)

チケット予約・問合せ◆K・企画 (TEL.03-3419-6318)
          ◆カルテットフォーム予約

           ※チケット発売中!

情報問合せ■K・企画(TEL.03-3419-6318)

  照 明■佐瀬佳明
 デザイン■エンドウミユキ
 舞台協力■遊戯空間・櫂人・草野峻平・川邊史也・野付敦
  制 作■菊地 廣(K・企画)・梅治の会

はじめに・・・・佐々木梅治

10年前こまつ座が初演した「父と暮せば」の舞台を観て私はド感動してしまった。
4年前客演した、わらび座の諸君から演技実習のための台本がないかと問われ、いっしょに勉強するつもりでこの作品を推薦、秋田での勉強会のため、家で稽古をしていると、台所仕事をしながら聞いていた妻が、シクシク泣きはじめたのだ。
以前、劇団の大先輩で創立メンバーの一人である故・滝沢修が「君たちね、台本をもらったら自分のところだけでなく最初から最後まで声を出して呼んでごらん、いい勉強になるよ」と言ったことがあり、以来、私はそれを続けていた。
秋田での稽古初日、皆の前で、一人で全部声を出して読んでみた。劇団員は大変感動してくれた。帰京後、二度試演会をする。それに感動した、南いたばしおやこ劇場の委員長の、是非にとの申し出から、昨年5月、2日間の公演が実現。その後も次々と声がかかり、勧められるままに、来年度の子ども劇場の全国企画に載せられることになった。
作者の井上ひさし氏から「一応、3年間上演を許可します」といっていただき、信じられないことが連続の一年になった。
私のスタイルは「芝居・読み語り」として、照明・効果・装置一切なし、台本一冊手にした私の肉体だけという、いたつてシンプルなものだ。
原爆投下後3年目の広島、登場人物も父と娘の二人だけ。
井上氏のこの戯曲はとにかく素晴らしく、私の演劇生活30余年は、この作品に巡り会うためにあったと言つても過言ではない。今まで、稽古も含め何回演じたかわからないが、その都度、突き上げられるような感動を覚える。このような作品はそうあるものではない。
その感動に導かれ、5月の連休にもう一度広島行きを思い立ち、作品の中で娘が歩いた、宮島口から比治山までの20数キロを実際に歩いてみた。当日は5月だというのに27度という真夏の陽気で5時間もかかった。8月9日の炎天下、自分自身もけがをしている娘が、父の遺骨を拾うため、どんな思いでこの道を歩いたのだろうと考えると、何度もこみ上げてきてしまった。
以前仕事で世話になった中国放送が、たまたま、私の広島行きを知って取材し、8月4日に放送してくれたのも、大変うれしいことでした。
この作品の公演は、いくつもの不恩議な力に支えられたものとなっているのである。

父と暮らせば 梗概

1948年。原爆投下から3年後の広島の夏。爆心地に近い焼け跡の家に、図書館勤めの美津江はひとりで住んでいる。家で待っているのは父親だ。しかし父は3年前の原爆で亡くなっている。
ここに現われた父親の幽霊が、実は美津江自身の心が生み出した幻影であることは、美津江本人も自覚しているから、父がひょっこり現れても少しも慌てない。 父娘ふたりきりの家の中で、美津江は父の存在をごく自然に受け入れる。やがてふたりの会話は、美津江が図書館で出会った木下という青年の話題になる。木下は美津江に好意を持ち、美津江も彼に対して好意を持っている。父は美津江の気持ちを察して木下青年との交際を勧める。美津江はその話題になった途端にさっと顔を曇らせて厳しい表情を見せる。 原爆投下で親しい人たちをすべて失ったあと、死んでいった人たちに申し訳なくて、生き残った自分の身の上が後ろめたくて、一切の幸せと無縁に生きていこうと思い詰めている美津江。
「うちは幸せになってはいけんのじゃ」 と美津江は言う。
しかし23歳の乙女心は、ひとりの青年に出会うことで揺れ動く。
「わたしも幸せになりたい」 「本当は幸せになりたいんだ!」
でもそれを声に出せず、彼女はそのささやかな願いを胸の中で押しつぶす。その結果生み出されたのが、娘の幸せを切実に願い、恋の後押しをしようとする、亡き父の姿をかりたもう一人の美津江である・・・・ 。
木下青年が収集している原爆資料を美津江が預かることになり、恋の成就も間近かと思った父に、美津江は家を出ることを告げる。
「うちが生きのこったんが不自然なんじゃ」
美津江の心の奥で幸せをさけている本当の訳は、家の下敷きになっている父を見捨てて逃げざるを得なかった父への懺悔である事を父は知らされる。
「うち、おとったんと死なにゃならんかったんじゃ」
と美津江心の最深部に秘めていたものが吐露される。 それでも、竹造のことばで、これから自分が生きていくための意味を認識させられ、美津江は生きることに、前向きに向かっていく姿勢を取り戻す。

あよなむごい別れがまこと何万もあったちゅうことを覚えてもらうために生かされとるんじゃ
おまいの勤めとる図書館もそよなことを伝えるところじゃないんか・・・
人間のかなしかったこと たのしかったこと
それを伝えるんがおまいの仕事じゃろうが
そいがおまいに分からんようなら・・・
ほかにだれかを代わりに出してくれや

佐々木梅治 プロフィール

 

北海道置戸町生まれ。
立命館大学卒業。
1973年劇団民藝入団。古典劇から現代劇まで幅広い役を演じている。
宇野重吉一座の九州公演中、宇野の代役で14回「三年寝太郎」を務める。 「夜明け前」「子午線の祀り」「山神様のおくりもの」など、外部出演も多数。
特に2003年から取り組んでいる井上ひさし作「父と暮せば」の一人語りは、まもなく200ステージを迎える。
その他、声優としても「チャングムの誓い」(トックおじさん)、「コールドケース」(ボス)、「パイレーツ・オブ・カリビアン」、「奇皇后」(ヨンチョル承相)、「仮面の王・イソン」(ウ・ボ)、「不滅の恋人」(ヤンアン大君)にレギュラー出演するなど、役柄によって多彩な声を聞かせている。