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『不死の病(ふしのやまい)

ワスレナイデ オネガイ ワタシヲワスレナイデ
それは異形の怪物か? それとも病と闘う病者なのか?
永劫の孤独を生き続ける、吸血鬼達の物語

公演詳細

2006年3月1日(水)〜5日(日)
於:ザ・ポケット(中野)

作・演出/野中友博

料金◎前売:¥3,500 当日:¥3,800
高校生以下:¥3,000円(紅王国のみで取扱い)
日時指定。一部自由席。前売り、予約優先の整理券制です
当日券、及び入場整理券は、開演の90分前より発行します

1日(水) 2日(木) 3日(金) 4日(土) 5日(日)
        13:00
      14:00  
        17:00
19:00 19:00 19:00 19:00  

 

キャスト

PERFORM
堀川りょう / 小林達雄 / 北島佐和子 / 松本淳市 / 円谷奈々子
田谷淳 / 鰍沢ゆき / 佐々木べん / 野口聖員 / 駒田忍 / 松岡規子

スタッフ

CREW
音楽:寺田英一 / 照明 : 中川隆一 / 美術 : 松木淳三郎(ART PINE) 音
響:青木タクヘイ(STAGE OFFICE) / 殺陣指導:山田直樹(座◎葉陰)
チラシ:KIRA【デザイン】・大野季楽【写真提供】・氷栗優【撮影】
演出助手:鈴木淳 / 舞台監督 : 小野貴巳(Jet Stream) / 制作 : 菊地廣
MUSIC-CREW
寺田宏【guitars、synthesizers、percussions】/ 井上佳紀【basses】      八尋修【drums&percussions】

THANKS
ザ/ポケット/ 総合演劇雑誌テアトロ / シアターガイド
スカイワーズプロモーション / K・企画 / S2K / P-BOX

はじめに

 『不死病』は孤独の物語である。それは題名の如く、永劫の時を生きる不死者、吸血鬼の孤独の物語であると同時に、病者の孤独を描こうとした物語でもあるのだ。  吸血鬼はそもそも伝染病のメタファーであると言われるが、吸血鬼の伝染がやはり病であるとすれば、それは血の病であり、尚かつ愛の病であり、そして不治の病でもある。幼い頃に見た『吸血鬼ドラキュラ』の映画は、本当に怖いと思ったけれども、それは吸血鬼の毒牙にかかった犠牲者自身もまた、死によってしか魂を救済される事のない吸血鬼となり、胸に杭を打たれて滅ぼされる存在になってしまうという事だった。これは伝染病への恐怖に他ならないし、病者に対する偏見と恐怖もまた象徴しているように思われた。  病者の孤独とは、おそらく病によってもたらされる死の恐怖という物とは異なるだろうと思っている。私も幾つかの持病を抱えているし、人一倍生への執着も強いので、勿論、死への恐怖という物はあるに違いないと思う。だがむしろ、その病を患っているが故の、他者からの恐れと偏見、同情、無知と無関心、それらと闘いながら、病と共に生きて行くという事にこそ病者の孤独があるだろうと私は思う。孤独や恐怖は死に対してではなく、むしろ生の中にこそある。故に私は死ななくなる病気に罹った病者として吸血鬼の物語を綴った。それは私自身の恐怖と孤独を綴ったという事でもあるのだ。  一九九〇年代に入って間もなく、私はAIDSを出発点とした劇を書きたいと漠然と考え始めたが、それが『不死病』という一つの作品に結実するまで、十年近い歳月を要した。初演から六年程を経た今も、不死者の孤独、病者の孤独は癒されていない。もう一度、その孤独と対峙したいと思う。

紅王∴野中友博

『不死の病』あらすじ

 戦後まもない昭和22年、かつては隠れ切支丹の隠れ里であった戸来村で、失血死による変死体が連続して発見され、その事件を捜査する為に県警より派遣された二人の刑事、瀬戸と袴田は、戸来村の御嶽本家に伝わる屍鬼、吸血鬼の伝承を聞く。御嶽本家では長男が戦死し、次男猪作も連続殺人事件の被害者となって菜緒美、瑠都の年若い姉妹だけが残されていた。だが、猪作の死体は忽然と消えてしまう。  同じ頃、村の教会には、ハナレと呼ばれる謎の集落から、永邑千歳、永邑那由多と名乗る二人の医師が、ハナレに隔離された患者である刹那という少女を追って訪れていた。二人の刑事の前にハナレの謎が立ちはだかるその時、蘇生した兄、猪作を伴った本家次女、瑠都が、修道女の円居美奈に助けを求めてやって来る。那由多は袴田、美奈の協力を得て、彼らを、教会の地下深くに作られた礼拝堂に保護することを決意する。  一方、戸来村本家には、かつて同様の連続殺人事件で姉を失った医学博士、御嶽栄作教授が四十数年ぶりに訪れていた。御嶽教授は人間を吸血鬼に変えてしまう疾患、後天性不死症候群=不死病を長年にわたり研究し続けていたのだ。彼の目的は、不死病の謎を明かし、その病原体を地上から根絶する事だった。  また、教会地下の礼拝堂では、自らが吸血鬼と化してしまったのではと脅える猪作に、那由多が病と闘うという事について語り、自分自身と千歳、刹那もまた不死の病と闘う物であると明かしていた。数百年の闘病が始まろうとしていた。  やがて、本家に寄宿している復員兵、甲斐と共に教会を訪れた菜緒美、御嶽教授らは教会地下に隠された礼拝堂の秘密を暴き、刑事、美奈と共に吸血鬼根絶の為に、地下深くへと降りて行く。罹患者の根絶を目論む御嶽教授と、病者こそが病魔と闘う者であり、病原体ではないとする、那由多、千歳との対決が迫っていた……

野中友博プロフィール

1962年 東京都出身 桐朋演劇科16期卒
1984年 劇団青年座入団 同年退団
1985年 TOTAL ART FOUNDATION [P-BOX]結成
      演劇部門「パンドラ劇場」を主宰し、作・ 演出家として89年まで活動      。TVドラマの企画などに参加。
1995年 銀座みゆき館劇場プロデュースによるイプセン作「ヘルゲランの勇者達      」の脚色演 出で演劇復帰。 同年 日本劇作家協会加入
1998年 「化蝶譚」でジャブジャブサーキットのはせひろいち氏らを抑え、第      9回テアトロ 新人戯曲賞受賞。同年 演劇実験室 紅王国設立

1999年 菅谷勇氏 難波圭一氏らの劇団 「TBワンスモア」10月公演「倭王伝」の      台本を担当。
      白水社 岸田国氏戯曲賞一次選考にノミネートされる。
2003年 『蛭子の栖』で、二度目の白水社 岸田國士戯曲賞一次選考にノミネート      される。

上演記録

第壱召喚式
『化蝶譚』〜けてふたん〜

1998. 6月10日〜17日
ウッディーシアター中目黒

第弐召喚式
『井戸童』〜いどわらべ〜

1998.12月2日〜9日
ウッディーシアター中目黒

第参召喚式
『不死病』〜ふじのやまい〜

1999.11月17日〜23日
ウッディーシアター中目黒

第四召喚式
『人造天女』〜じんぞうてんにょ〜

2000.9月27日(水)〜10月3日(火)
ウッディーシアター中目黒

第五召喚式
『水神抄』〜すいしんしょう〜

2001.6月21日(木)〜6月24日(日)
劇場MOMO

第六召喚式
『御蚕様』〜おしらさま〜

2002.2月20日(水)〜2月26日(火)
劇場MOMO

第七召喚式
『女郎花』〜おみなえし〜

2002.9月11日(水)〜9月17日(火)
『劇』小劇場

補完計画−1
『雄蜂の玉座』〜おばちのぎょくざ〜

2003.5月16日(金)〜5月18日(日)
スタジオ・あくとれ

第八召喚式
『蛭子の栖』〜ひるこのすみか〜
《白水社岸田國士戯曲賞一次候補》

2003.10月22日〜28日
劇場MOMO

補完計画−2
『火學お七』
《『岸田理生戯曲連続上演2004』参加作品》

2004.6月23日〜27日
中野スタジオあくとれ

第九召喚式
『聖なる侵入』

2004.10月27日〜11月3日
『劇』小劇場

第拾召喚式
『美神の鏡』

2005.9月28日〜10月4日
『劇』小劇場


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